関節リウマチ

関節リウマチ

1.関節リウマチとは

自己免疫疾患の1つで、自分の関節を自分の体ではないと勘違いした異常免疫が、炎症(滑膜炎)を引き起こし、ひいては関節変形を生じてしまう病気です。
つまり、たんに関節が痛くなったり腫れたりするだけの病気ではありません。
関節が壊れてしまう病気です。

しかし、この10年で大きく関節リウマチの治療は変わってきました。
現在では、アンカードラックと言われるリウマトレックス®(メトトレキサート)の登場により、はるかに関節予後が良くなってきました。更に生物学的製剤の登場により寛解と言われる状況だけでなく完治も可能となる方も出てきました。

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2.診断

診断は、最近では2010年にアメリカリウマチ学会と欧州リウマチ学会が共同で分類基準を改訂しました。
診断基準でなく分類というところがミソです。

重要なのは、チャートの2つ目『より可能性の高い他の関節炎が考えられる』かどうかです。つまり除外診断を行う必要性があります。
現在、日本リウマチ学会から『新基準使用時のRA鑑別疾患難易度別リスト』が出ています。

鑑別難易度

1.ウイルス感染に伴う関節炎(パルボウイルス、風疹ウイルスなど)
2.全身性結合組織病(シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、皮膚筋炎・多発性筋炎、強皮症)
3.リウマチ性多発筋痛症
4.乾癬性関節炎
1.変形性関節症
2.関節周囲の疾患(腱鞘炎、腱付着部炎、肩関節周囲炎、滑液包炎など)
3.結晶誘発性関節炎(痛風、偽痛風など)
4.血清反応陰性脊椎関節炎(反応性関節炎、掌蹠膿疱症性骨関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患関連関節炎)
5.全身性結合組織病(ベーチェット病、血管炎症候群、成人スチル病、結節性紅斑)
6.その他のリウマチ性疾患(回帰リウマチ、サルコイドーシス、RS3PEなど)
7.その他の疾患(更年期障害、線維筋痛症)
1.感染に伴う関節炎(細菌性関節炎、結核性関節炎など)
2.全身性結合組織病(リウマチ熱、再発性多発軟骨炎など)
3.悪性腫瘍(腫瘍随伴症候群)
4.その他の疾患(アミロイドーシス、感染性心内膜炎、複合性局所疼痛症候群など)

以上の疾患群を全て鑑別したうえで、診断を進めます。このスコア表を用いることにより、関節リウマチの診断が以前より比較的早期にでき、早い段階で抗リウマチ薬の使用が出来るようになりました。

3.治療目標

関節リウマチは治る病気になった!!!と豪語される高名な先生もいらっしゃいますが、実際には、中には治る方もいるという表現があっているように思います。

まず、関節リウマチには3タイプあります。
①急速進行型
②多周期型
③単周期型
問題となる方は、①②であり、③の方は既存の古典的DMARDsなどで加療が可能と考えてよいと思います。

むろん最終治療目標は、完治(薬を使用しないでもよい状況)ではありますが、関節リウマチの患者様全員が完治を目指せるものではありません。
一つずつ以下の目標を達成していき、最終目標に達成することもあると考えてください。
何故ならば、古典的DMARDsであろうと、分子標的治療薬であろうと、非常に強力な薬剤であり、副作用とくに感染症を引き起こし易いことに変わりはないのです。
関節リウマチは良くなったけど、薬剤により別の障害が引き起こされ、生活の質(QOL)を妨げてしまっては本末転倒と私は考えます。

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川合眞一 監修 : 慢性関節リウマチ、医薬ジャーナル社、大阪、2001改定

  • 目標
  • ・臨床的寛解:薬剤を使用しながら、リウマチの症状がない状態
    ・構造的寛解:薬剤を使用しながら、関節破壊を未然に防ぎ、進行が防止できる。
    ・機能的寛解:薬剤を使用しながら、関節の機能を残せる。
    これに、分子標的治療薬(生物学的製剤・低分子医薬)を使用することで、
    ・休薬時期(Drug Holiday):休薬できる。
    ・完治   :薬剤を中止しても、再燃しない。
    というゴールを得られることがあります。

4.活動性の評価

目標を達成するには、現在の関節リウマチの活動性を評価する必要があります。

1.腫脹関節数
2.疼痛関節数
3.患者自身の全般的健康状態
4.医師による疾患活動性の全般評価
5.日常生活評価(HAQ)
6.炎症所見(ESR/CRP)
などから計算される
・ACR25・50・70
・DAS-28(ESR/CRP)
・CDAI/SDAI
などがあります。

しかしこれらは、身体所見と数値を合わせて計算されるため、単なる風邪や感染症による炎症所見を含めてしまったり、アクテムラ®やゼルヤンツ®のように炎症所見をマスクしてしまう薬剤の評価としては、正しく診ることができません。

よって当院では、RAPID3という評価方法を現在では用いています。
これの利点は、身体所見・主観的全般評価・炎症所見をそれぞれ別々に評価できる点だと考えています。
患者様には、診察前のアンケートにご協力お願いいたします。

5.治療

ではなぜ、早期に抗リウマチ薬を使用しないといけないのでしょうか。
関節リウマチとは、関節が壊れて機能障害を来してしまう、障害者になってしまう可能性があるため、関節破壊抑制効果のある薬剤を早期に使用する必要があるのです。

抗炎症作用・鎮痛効果

ステロイドや消炎鎮痛剤などがこれに当たります。
しかし、これらは長期間使用を続けると副作用も出やすく、限定的な使用が望まれます。

関節破壊抑制

ステロイドや消炎鎮痛薬では関節破壊抑制が得られないために、早期診断・早期治療が求められるようになってきました。
以前の診断基準では、少なくとも6週間診断に要しその間に関節破壊が進行してしまう方も少なくなかったのです。
しかし、関節破壊抑制効果の高い抗リウマチ薬は、どれも免疫力を抑制するために慎重に使用する必要があります。

古典的抗リウマチ薬(DMARDs)

1.メトトレキサート
2.レフルノミド
3.サラゾスルファピリジン
4.イグラチモド
5.タクロリムス
に加え、金製剤などが古典的DMARDs(抗リウマチ薬)と言われるものです。

最近では、分子標的治療薬のなかでも『生物学的製剤』といって、最新のバイオテクノロジー技術を駆使して開発された、生物が産生した蛋白質を利用して作られた薬剤もあります。

TNFαを抑制する薬剤

1.レミケード®(インフリキシマブ)
2.エンブレル®(エタネルセプト)
3.ヒュミラ®(アダリムマブ)
4.シンポニー®(ゴリムマブ)
5.シムジア®(セルトリズマブ・ペゴル)

IL-6を抑制する薬剤

6.アクテムラ®(トシリズマブ)

T細胞抑制する薬剤

7.オレンシア®(アバタセプト)

種類 名前 投与方法 点滴
投与
時間
自己
注射
可能
投与間隔   薬価 使用量 月額50㎏
TNFを
抑制する
薬剤
レミケード 点滴 2時間   2週・6週・その後4~8週毎 89,536円(100㎎) 3~10㎎/㎏/1~2か月  
エンブレル 皮下注射   1週毎 15,746円(25㎎) 25~50㎎/週 124,276円
ヒュミラ 皮下注射   2週毎 65,144円(40㎎) 40~80㎎/2週 130,288円
シンポニー 皮下注射 院内 × 4週毎 126,622円(50㎎) 50・100㎎/4週 126,622円
シムジア 皮下注射   2週・4週・その後2週または4週毎 63,494円(200㎎) 開始後3回は400㎎/回、200㎎/2週か400㎎/4週 126,988円
IL-6を
抑制する
薬剤
アクテムラ 点滴・
皮下注射
1時間 4週毎(点滴)
/2週毎(皮下注)
39,291円(162㎎) 8㎎/㎏/4週(点滴)・162㎎/2週(皮下注射) 78,582円
T細胞を
抑制する
薬剤
オレンシア 点滴・
皮下注射
30分 2週・4週・その後4週毎(点滴)/1週毎(皮下注) 27,947円(125㎎) 500㎎/60㎏以下、750㎎/60-100㎏以下、1g/100㎏以上(点滴)、125㎎/回(皮下注射) 111,788円

また、分子標的治療薬のなかで低分子医薬と言われるものでヤヌスキナーゼ阻害薬である
8.ゼルヤンツ®(トファチニブ)
も出てきました。

しかし、最近の薬剤はどれも高額であり、一番のネックとなっております。
また、後発品としてバイオシミラ―というものが出てきておりますが、分子量が大きく異なっているものなどあり、先発品とリスクが同様であるとは一概にはいえそうもありません。

6.高額療養費

生物学的製剤や低分子医薬は、非常に高額であり、保険で3割負担の方では月約3万円の自己負担が必要となっております。この為、助成制度として高額療養費制度というものがあります。わかりやすいサイトが薬品メーカーの物ですがありますので、以下に紹介します。

高額療養費パーフェクトマスター
http://www.bms.co.jp/kogakuryoyo/

様々な保険や各種制度を使っても、なにもサービスが受けられないという方もいらっしゃいますが、最後の手としては薬局で支払うときにクレジットカードを使用し、ポイントを貯めるという手段もあります。
(当院での支払いは、クレジットカードに対応しておりません。)

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7.最後に

病気で痛くてつらいのに療養費にまでこんなに高くて生活がままならない、と考える方も多くいらっしゃるとは思いますが、早く診断し治療を受ければ関節破壊の程度もより抑えられ、早期に生物学的製剤等の治療を導入できれば、生物学的製剤の終了や、一時的であっても休薬ができることが分かってきました。
さらに、関節破壊が進み、痛みにより失職してしまうケースもありましたが、昨今の治療により失職せずに続けられるようになった方も数多くいらっしゃいます。
少しでも早く穏やかな生活が取り戻せるよう患者様皆様のご理解の得られる治療を提供できるよう努めてまいります。

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